2018年12月 月間労働組合

2018年12月 月間労働組合 p56-57
外国人労働者受入の問題点
吉田真由美

新しく受け入れる前に非正規滞在者の合法化を

今回の入管法改定で、多くのマスコミ、専門家が、新しい外国人労働者受け入れの問題点を議論している。
しかし、新たな受け入れの前に、これまで日本経済を下支えしてきた非正規滞在者を合法化すべきではないか。

非正規滞在者が入管法を犯してきたのは事実かもしれない。
しかしこの一点の過ちをもって、今更彼ら彼女らを強制送還することはあまりにも酷ではないのか。
法律の世界では「比例原則」という考え方があるそうだ。犯した罪と処罰が比例しているべきというものである。
前述したように強制送還されれば、非正規労働者は、あるものは生活していくことが困難になり、
子どもたちは将来の夢を奪われる。

彼ら彼女らを強制送還することは入管法を10年、20年以上前に犯したが、
その後は日本社会に溶け込み、真面目に暮らしてきた。
日本語を話し、日本の労働環境にも慣れている。合法化されるに値するのではないか。
欧米では移民法が改定されるときは、すでにいる非正規滞在者は条件付きで
アムネスティ(一斉恩赦)され合法化されるのが一般的である。日本でも今回の改定に合わせて行うべきである。
日本の都合で日本の労働現場に引き留め、今では帰国できない状況になっている非正規滞在者に対し、
日本政府はどのような処遇をするのか、新たな外国人労働者受け入れにおける政府の人権意識を問う試金石といえるだろう。
ここで頑なに帰国を迫ることは、今後も外国人労働者に対し、人を人と思わない政策を断行していくことを示す。

日本は外国人労働者を受け入れる政策に大きく舵を切った。
政府は移民政策ではないというが、大きな転換であることは確かだ。
非正規滞在者への対応含め、外国人労働者に対する人権意識を
グローバルスタンダードまで押し上げることは、日本政府が行うべき急務である。