スラジュさん事件で画期的な一歩!

スラジュさん

生前のスラジュさん
スラジュさんの事件に関して、画期的な一歩がありました。
弁護団の先生から以下、ご報告いただきます。

 (スラジュさん事件早期起訴処分を求める要望書は、現在も募集中です。ダウンロードは→こちら←)

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スラジュさんの裁判経過報告
2011年4月18日
弁護士 飯田健太郎 皆川涼子

2011年3月31日、東京高等裁判所が画期的な決定をしました。国に対して、スラジュさんが亡くなった経緯を記した報告書を開示せよ、と命じたのです。

スラジュさんが送還中に亡くなったのは2010年3月22日のことでした。この際、入管職員がスラジュさんの口にタオルを入れたり、さるぐつわを使用したりしたのではないか、と疑われています。これが事実だとすれば、入管職員の行為は許されるべきものではありません。そこで、スラジュさんの奥さんは国家賠償請求をする決意をしました。しかし、スラジュさんの奥さんや弁護団が国に対して再三にわたって真相解明を求めたのに対し、国は一向に当時の詳しい出来事を説明しませんでしたし、スラジュさんの亡くなった経緯を記した報告書を開示しなかったのです。

そこで弁護団が、2010年9月24日に、裁判所に対してこの報告書を事前に証拠として調べるように求めたのです。この手続を証拠保全手続と言います。12月6日になって、ようやく証拠保全手続を開くことが決まりました。弁護団は年末年始に、裁判官とともに法務省に赴いて、報告書を開示してもらうよう国を説得しました。しかし、それでもなお、国は報告書を開示しなかったのです。弁護団は、国に報告書の開示を強制的に命ずるようにも、裁判所に求めましたが、裁判所は、「刑事手続に関連する書類は開示命令に適さない」とし、求めに応じませんでした。2010年12月28日に、スラジュさんが亡くなったこと関して、入管職員10名がようやく書類送検された直後の判断でした。

そこで弁護団は、この裁判所の判断に対する不服を、東京高等裁判所に申立てしました。それに対して、冒頭に述べた決定が出たのです。東京高等裁判所は「1年が経過したにもかかわらず、スラジュさんが亡くなった経緯についてすら詳しい説明をしていない」「担当窓口の設置を約束したにもかかわらず何ら連絡をしていない」ことなど、これまでの国の対応を厳しく指摘し、報告書の開示を命じたのです。

この報告書が開示されれば、スラジュさんが亡くなった日に何があったのかが分かります。これでようやく、国家賠償請求訴訟に向けた第1歩が踏み出せました。しかし、まだまだ証拠が十分とは言えません。国は、スラジュさんが亡くなった際の一部始終を撮影したビデオテープを捜査機関に提出したと言っています。弁護団は、検察官に対して捜査の進行を促すなど、引き続き真相解明に向けた活動をしていきたいと考えています。