法務省入国管理局によって、親子が分離されようとしている状況を受け、2015年3月25日(水)、APFSは法務省へ「親子・夫婦を一体のものとして扱い、家族を恣意的に分離されないこと」を求める緊急の申し入れを行いました(要望書の内容を末尾に記しています)。法務省からは、入国管理局審判課長・丸山秀治氏他が対応しました。
法務省前では、親子分離の危機にある家族を中心に40名近くの当事者・支援者が集結し、マイクでアピールを行いました。当事者からは、「親子をバラバラにしないでください」「子どもだけが残るのはかわいそう」「人権のことをもっと考えて欲しい」といった声が聞かれました。支援者からは、「日本が大好きだが、オーバーステイで困っている人が沢山いる。日本の法務省が正しいことをしてくれるよう信じている」との声が寄せられました。
法務省は、要望があることを認識したと述べましたが、具体的な回答はしませんでした。
APFSからは、あくまで家族を一体のものとして扱い家族に在留を認めること、移民(外国人)政策という大きな枠組みの中でこの問題を考えて欲しい旨を述べました。
APFSでは、今後パレードを通じての社会への呼びかけ、地域における支援する会の立ち上げ等を進め、より多くの方にこの問題を知っていただくように行動していきます。
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2015年3月25日
法務大臣
上川 陽子 殿
特定非営利活動法人ASIAN PEOPLE’S
FRIENDSHIP SOCIETY(APFS)
代表理事 加藤 丈太郎
要望書
APFSは、親子・夫婦を一体のものとして扱い、家族を恣意的に分離されないことを強く求めます。
2015年2月、超過滞在のフィリピン人家族(父親、母親、長男(高校生)、次男(小学生)、子どもはいずれも日本で出生について、東京入国管理局より「長男と次男については日本に残れる可能性があるが、父親、母親には帰国をしてもらう」旨が家族に告げられました。法務省―入国管理局によって、親子が分離されようとしています。
外国人親子の分離の問題は以前から存在します。2009年4月には、同じく超過滞在の状態にあった、カルデロン・のり子さん家族について、父母は帰国させられ、のり子さんだけが日本に残ることとなりました。6年経った今も、なぜ同じような運用を続けるのでしょうか。
超過滞在は経済的な構造から発生した問題であるとも言えます。日本では単純労働をするための在留資格は未だ存在しません。そのため、1980年代後半~1990年代前半、労働力が不足していた時代に、多数の外国人が「短期滞在」の在留資格で来日し、やむなく超過滞在の状態で就労をしていたという経緯が存在します。送還だけでなく、「在留特別許可」の弾力的な運用が検討されるべきです。
日本政府も批准している「児童の権利に関する条約」第9条の1には、「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。」とあります。また、「自由権規約」第23条の1には「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する。」とあります。「社会の自然かつ基礎的な単位」である「家族」は何においても「保護」されなければなりません。
フィリピン人家族についても父母が強制送還されては、「家族」を「保護」することは出来ません。「児童が」「父母から分離されないことを確保」すべきです。また、このフィリピン人家族以外にも、APFSにおいて複数の外国人家族が同様の決断を迫られている現状があります。
さらに、日本人(永住者)の配偶者として日本で生活を続けることを求めている非正規滞在者も存在します。外国人配偶者が送還された場合、夫婦は別々の国で暮らすことを強いられます。日本人(永住者)中には、親の介護が必要な者、自身が病気を抱えている者も存在します。
日本人(永住者)たちや日本で出生した子どもが異国で新たに生活を始めることは容易ではありません。一方、外国人配偶者は日本の生活に慣れ親しんでいます。APFSで支援をしている夫婦は、いずれも真摯に交際し、結婚生活を送っています。
APFSは法務省へ親子・夫婦を分離せず、家族を一体のものとして扱い、恣意的に分離しないことを強く求めます。