スラジュさん事件国家賠償請求訴訟 結審

報告会

報告会では、弁護団へ傍聴者から多くの質問が出ました

2014年2月3日(月)、スラジュさん事件国家賠償請求訴訟が結審しました。
傍聴席は満席で、控室にて20名程度の傍聴希望者が待機という状況でした。
今回は最終弁論でしたが、原告のみの弁論で、被告側の弁論はありませんでした。

(原告の奥様の意見陳述)
最初に原告奥様からの最終意見陳述がありました。

スラジュさんがイラストを書く時の様子やそば好きのスラジュさんが馴染みで通っていたお蕎麦屋さんでのエピソード、桜の咲くころによく散歩した公園での二人の会話など、スラジュさんとの思い出がたくさん詰まった意見陳述を聞いて傍聴者の中には涙をおさえることができない方もいるほどでした。

冒頭で奥様は「心のよりどころを失って私の時間は止まったままです」と述べました。
奥様の時間が少しでも早く動き出せるように、よりよい判決が出ることを願わずにはいられない陳述でした。
スラジュさんの奥様からの最終意見陳述後、原告弁護団からの最終弁論がありました。

(弁護団の最終弁論及び報告)
2010年3月22日、事件当日に何があったのか、まずは事件からこれまでの約4年間の事実経過と違法性の確認が述べられました。
事件後、国側から遺族に対し事件の詳細が知らされることはなかったこと。
証拠保全手続きを行っても、国が多くの証拠の開示を拒否したこと。
ようやく出てきた事件当日の様子を撮影したビデオは、スラジュさんと入管職員が航空機内に入った時点で録画が止められていたこと。

こうした、事件の真実を隠蔽しようとする国側の態度に対し、国家賠償請求訴訟での入管職員の尋問などを経て、多くの残酷な事実が明らかになりました。
スラジュさんに規則で認められていない戒具(タオルや結束バンドなど)を使用したこと。
スラジュさんに不要な制圧姿勢を強いたこと。
スラジュさんが抵抗したという入管職員の供述は嘘であったこと。
明るみに出たこうした事実により、事件当日の入管職員の行為は「過剰」で「不必要」で「法令違反」であり、そのため国家賠償法上違法ということは明らかであると述べました。

その後、スラジュさんの死と入管職員の行為との因果関係について述べられました。
入管職員に危険な制圧姿勢を強いられていたまさにその瞬間に、スラジュさんは病気によって心臓が止まったという被告側の主張がいかに不合理であるか。また、国側の主張では何ら科学的な根拠を出せておらず、医師の証言のみを論拠としている。こうしたことを踏まえて、スラジュさんが危険な制圧によって亡くなったということは、誰の目にも明らかであると述べました。

裁判は40分ほどで終了となり、その後は場所を移して報告の時間をとりました。弁護団の先生から最終弁論内容の簡潔な説明があり、また、この訴訟の被告である入管職員9名部分のみの取り下げについて報告・説明もありました。その後、報告に集まった多くの方から様々な質問が出、次回の判決を前にして、皆さんの熱気が伝わってきました。