
入国管理局職員5名の尋問では、それぞれの職員が事件直後などに供述した内容と現在の主張との間の矛盾点などを、弁護団の先生が鋭く突いていきました。こちらが主張している体位性窒息を意識してか、入国管理局職員たちは「前かがみ」について非常に慎重に証言している(偽証している?)ように見受けられました。
また、全ての職員の受け答えから感じたのは、事件当時、被送環者であるスラジュさんへの配慮がまったくなかったということです。
「2度目の強制送還だった(1度目は失敗)ため失敗したくなかった」と述べる職員(送還の成功が最優先で命は二の次に感じられたのでしょうか?)。
「以前強制送還時にアフリカ人が暴れた事件があったため注意が必要と思った」と述べる職員(こうしたアフリカ人に対する偏見がスラジュさんに対する乱暴な扱い→死亡事件につながったのではないでしょうか)。
「スラジュさんの反応がなくなった時に脈を確認できなかったが、演技をしていると思い機内での救護措置は取らなかった」と言う職員(演技で脈を止められるわけがありません)。
こうした全ての無配慮がスラジュさんの死亡事件につながったと言えます。
今回明らかになった送還のこのような実態はスラジュさんの強制送還においてに限ったことではなく、普段の送還の中でも行われているのです。スラジュさんの死亡事件を契機にこうした送還実態が改められなければ、現状の非人道的な送還を見直す機会が失われてしまいます。この国家賠償請求訴訟ははそういった意味で非常に大きな意味を持つものだと実感しました。
次回期日は2013年10月23日(水)です。スラジュさん心臓を鑑定した医師などの尋問です。次回も10時からスタートで傍聴券配布になる予定です。日程等の変更情報は、APFSウェブサイトなどでアップします。次回も、傍聴のご協力、よろしくお願いいたします。