第5回 在留特別許可に係る市民懇談会を行いました

市民懇談会5

高橋済弁護士による報告
在留特別許可に係る市民懇談会では、出入国管理政策懇談会への提言等に向けて、在留特別許可に関する様々なトピックについて学習を進めています。

2017年3月7日(火)には、板橋区立文化会館において、高橋済弁護士(東京弁護士会)に「在留特別許可と難民認定制度」についてご報告をいただきました。

まず、難民認定の「手続」について第1段階たる申請手続につぐ第2段階がこれまでの「異議」から2016年4月以降「審査請求」となり、その手続は7日以内に成されねばならず、また必ず本人が申請かつ出頭しインタビューを受けることが必要であることが指摘されました。そして難民不認定の場合、「人道配慮」としての在留特別許可をするときは「特定活動」(1年)または「定住者」(1年)、不許可の時は在留資格に係る許可をしない処分となる。これに対し審査請求棄却の場合においては、「人道配慮」として在特を許可する時には不認定時の資格に係る許可をしない処分、不許可の場合には判断しないとなります。

ところで難民認定申請においては、何度も可能な現行制度について近年マスメディア等で否定的な報道がなされていますが、この点について高橋弁護士から再申請の意義が次のように強調されました。すなわち、初回申請の判断後、①国の状況が悪化した場合 ②申請者が新たに政治活動などをした場合 ③新資料が発見された場合等 内外の状況変化に応じて再申請制度は積極的意義があるとのことです。ところが現状では法律上何の規制もないにもかかわらず、「迅速処理」の名の下にB・C案件(迫害事由に明らかに該当しない案件・前回同様の主張案件)は3月以内処理、D案件(通常案件)は6月以内処理が進められていることが報告されました。さらにA案件(難民可能性大、本国が内戦状況故に人道配慮が必要な案件)についてはこの間数件しかない実態も示されました。

つぎに最も重要な問題として、「難民再申請」と「再審情願」との関係についての話がなされました。要点を記せば、退去強制令書発付先行型では入管法50条の適用があり、難民申請後も再審情願が認められます。しかし難民申請先行型のケースでは50条は適用されず(再審情願は認められず)、ただ61条の2の2による難民再申請のみが可能となります。したがって、例えば早々と難民申請をした後で日本人と結婚した者は在留特別許可を求めて再審情願をすることはできず、「迅速処理」下での難民再申請を繰り返す他ないのです。

最後にいわゆる「判検交流」の問題性について要点の指摘がなされ、全体にわたる質疑応答(例:「人道配慮」の適用範囲など)をもって閉会しました。