バングラデシュ人家族の勝訴判決を受けて法務省へ緊急の申し入れを行いました

法務省

要望書を提出する加藤
2015年6月23日(火)、APFSでは、バングラデシュ人家族の退去強制令書発付取消請求訴訟における勝訴判決を受けて、法務省入国管理局審判課へ、在留特別許可を速やかに認めるよう求める以下の申し入れを緊急に行いました。

APFSからは、相談役の吉成勝男、代表理事・加藤丈太郎、副代表理事・吉田真由美が出席しました。法務省からは審判課補佐官 川畑氏他1名が対応しました。川畑氏からは申し入れの内容も踏まえ、控訴期限ギリギリまで検討する旨が伝えられました。

以下、申し入れの内容です。

2015年6月16日、上記申出人家族が提起していた退去強制令書発付取消請求訴訟において「処分行政庁が,原告ら各自に対し,平成25年11月6日付けでした,退去強制令書を発付する処分をいずれも取り消す。」という判決が出ました。
上記家族は2014年4月25日に既に再審情願もしています。今回の判決を踏まえ、申出人家族に早急に在留特別許可を認めてください。

上記判決は、申出人父の「潰瘍性大腸炎」の今後の治療に際し日本での治療の必要性を強調しています。「バングラデシュに帰国した場合、適切な薬剤治療に必要な数量を入手して効果的治療を継続すること、潰瘍性大腸炎の症状が再燃した場合に適切に治療すること、症状が重症化し外科的治療が必要となった場合に適切に治療を行うことは、いずれも困難を伴うと言うべきであり、本邦での治療を必要とする立場にある」と記しています。
また、申出人子の「停留精巣」について、判決は「停留精巣の性質等に照らすと,同手術の後も定期的に経過観察を受けていく必要があることが推認されるところ,上記のようなバングラデシュの医療事情等に鑑みると,原告子が同国に帰国した場合に適切な診療を受けることができるかについては,疑念を抱かざるを得ない。」と述べています。

また、申出人母について、判決は「引き続き,上記のように本邦に在留する必要のある原告子と同居し,その監護養育を行っていく必要があることは明らかである。」と述べています。

さらに同判決は、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)12条1を挙げ「この規約の締結国は、すべての者が到達可能な最高水準の身体及び健康を享受する権利を有することを認める」と定めているとし、「病気の場合にすべての者に医療及び看護を確保するような条件の創出」を必要とするという条項を挙げ「条約の趣旨から東京入管が原告家族に在留特別許可を与えるべきではないとした判断は社会通念に照らして著しく妥当性を欠いている」とする判断を下しました。

申出人家族は、決して自らの不法入国及び不法滞在を正当化しようとしているのではありません。自らの罪については深く反省をしています。
しかし、申出人父が難病に罹患したが故に、日本での在留を強く必要としています。申出人父は日本語が非常に堪能です。申出人長男も2014年より幼稚園に通い、着実に日本での教育を受けています。申出人家族は日本の法律を遵守し、地域社会に溶け込んで生活をしていく所存です。

APFS及び申出人家族は、法務省が判決の趣旨を重く受け止め、控訴をすることなく、一家3人に在留特別許可を速やかに認めるよう求めます。
以上