2020年11月 建築ジャーナル

2020年11月 建築ジャーナル 18p 
特集「外国人居住」もっと知ってほしい日本の在住外国人をめぐる課題
相互扶助を理念に、相談、提言、講座
吉田真由美

「解決型相談」を行う
在住外国人が抱える、日本で生活するうえでのさまざまな困難・問題の相談に対応しています。
単に相談先を紹介する「交通整理型相談」ではなく、
あらゆる分野の相談も解決までを一緒に支援する「解決型相談」を行っています。
また、こうした相談事業の中で浮かび上がった在住外国人の声を行政などに届ける提言活動にも力を注いでいます。
こうした活動以外には、在住外国人が日本での生活をよりよくするための勉強会や講習会を行ったり、
日本人住民の方にもっと在住外国人のことを知っていただくための講座・シンポジウムなども実施しています。

「外国人お断り物件」がある
いまでも外国人お断りの物件があります。また、近隣住民とのトラブルも多いです。
当然ですが外国人は日本社会の暗黙のルールを知らず、また日本人はそれを口に出さないため、
お互いが歩み寄りができずにいます。日本人が「伝える」努力をすることが必要と考えます。

当団体が支援する外国人の方は関東近郊にお住まいです。
それぞれの国の方が多く住む「集住地域」で物件を見つけることが多いようです。
たとえば都内のバングラデシュ国籍の方は北区に多く住んでいます。
すでに大家さんと信頼関係を築いている物件などを紹介し合い、
また同国人の催し物なども近所の施設で行われているので、
そうしたコミュニケーションの場にも行きやすいです。

「非正規の不安定な立場」
たくさん外国人が職を失いました。外国人は(日本語能力などの問題もあり)正社員になかなかなれず、
契約やパートタイムの形態で働いているケースが多いため、コロナ関連不況で最も先に解雇されたといえます。
再就労先も簡単に見つからず、本国に帰国したくとも、世界的な感染拡大で航空機が飛んでいないという状況で
途方に暮れている外国人が多くおりました。
通常はあまり気づかないですが、今回のような緊急時に外国人の不安定な立場が明るみに出たように感じます。

「身近な隣人として」
すでにさまざまなりゆうから日本は多くの外国人を受け入れてきています。
外国人は日本社会が経済的な発展をするため、
また高齢化に対応するための単なる労働力ではなく、みなさん血の通った人間です。
受け入れた人々の人生を考えた政策をとってほしいと国・行政に対しては訴えたいです。
外国人は身近な隣人でもあります。日本人的な発想も、そこから逸脱しているかのような外国人の発想も、
それぞれ一つの価値観です。お互い地域社会の隣人として歩み寄れば、多彩な社会が築けると思います。