タイへのチャーター便による強制送還への抗議声明

2013年12月8日、タイ国籍の46名の非正規滞在者がチャーター便によって強制送還されました。

2013年7月6日にも法務省―入国管理局はフィリピン国籍の75名をチャーター便で送還しています。7月25日~7月28日にAPFSがフィリピンで調査を行った結果、送還された者はいずれも仕事を見つけることが出来ず、生活に困窮していました。また、日本に居住しているパートナーや実子と離ればなれにされ、心身ともに疲弊しきっている者も存在しました。さらに、送還の途中で打撲した者がいることも判明しています。フィリピンへのチャーター便での送還については、11月5日に国会においても質問がなされ、人道上の配慮、人権擁護への疑義が問われたばかりです。 

また、2010年3月22日、APFSで在留特別許可取得に向けて支援をしていたABUBAKAR AWUDU SURAJ(スラジュ)さん(ガーナ国籍)が国費送還中に死亡し、この事件に関しては国家賠償請求訴訟が現在も継続しています。送還時の入管職員の行為が問題視されている事件の真相が未だ究明されていない中で強制送還が再開されていること自体、暴挙と言わざるをえません。

12月8日のタイ国籍の46名の送還では、20年以上日本に在留をしていた方が13名含まれることが明らかになっています。タイには生活基盤がなく、路頭に迷う可能性もあります。さらに、タイでは11月25日に、政権の打倒を目指すデモ参加者により財務省庁舎・外務省庁舎が占拠されました。デモは拡大の一途をたどっており、極めて政情が不安定であります。このような時期に強制送還を無理に行う必要が果たしてあったのでしょうか。

チャーター便での送還は、通常の航空機での送還以上に安全性に問題があり、被送還者の個別の事情を無視した一斉送還は人道上許されません。
APFSは今回のタイへのチャーター便での強制送還に断固抗議いたします。

2013年12月11日
特定非営利活動法人APFS
(ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETY)

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