スラジュさん事件国賠訴訟 控訴審判決

2016年1月18日、東京高裁825法廷でスラジュさん国賠訴訟の控訴審判決がありました。傍聴券が交付され、傍聴席は満席となりました。

裁判長から、原判決の取り消し、第一審原告らの請求を棄却する旨の言い渡しがありました。

判断の理由として以下の点が読み上げられました。

死亡の経過としては、原告側が問題としてきた前屈体勢になる前にスラジュさんはすでに意識を喪失していた。
死因については、窒息の顕著な所見はなく、反対にCTAVNはスラジュさんの心臓でかなりの大きさとなっており、相当の障がいを与えていたはず。6人の医師(被告側依頼した医師ら)の言う通り、CTAVNによる致死性の不整脈が死因である。
国賠法上の違法性に関しては、警備官の行った制圧行為は相当性のある行為であり、たとえ制圧のストレスがCTAVNの症状を誘発させたとしても警備官は予見できなかった。そのため、制圧行為に違法性はない。
救護義務違反については、CTAVNでの死亡はAEDなどでは救命できないため、警備官が救護義務を怠ったとしても、スラジュさんの死亡との間に因果関係はない。

以上のように、地裁判決で勝ち取ったものはすべてひっくり返され、国側がお金に糸目をつけず依頼した、名だたる医師たち(CTAVNの病名すら正確に覚えていない医師もいました)の書面を証拠に、スラジュさんは警備官が制圧行為をする前に、CTAVNというあまり例のない病気によって死んでいた。そのような病気は警備官が予見できるわけもなく、また救命も難しいから、警備官に落ち度はないという判断をしました。

閉廷した後も、「このような判決を聞きに来たわけではない」、「そんな判決があるのか」、「人間の出す判決か」、そうした声が傍聴席から出ました。

取り急ぎ、判決内容を簡単に報告いたしました。